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母親になるための自己管理

〜食生活の改善と適度な運動が安産の第一歩〜

産科・婦人科筑紫レディスクリニック

片瀬高 先生

BeMam vol.000

 最近の妊婦さんの傾向として、赤ちゃんの体重が増え過ぎて難産に至るケースが大変増えています。安産を目指した色々なスタイルの産み方が話題になっている昨今、私は産み方のスタイルやテクニックももちろん大切ですが、お腹の赤ちゃんを大きくし過ぎないように努力することが、安産への一番の近道ではないかと考えています。

 それには食生活に気をつけ、栄養のバランスを考慮した食事を習慣づけること、全妊娠期間を通して適度に身体を動かすことが大切です。その結果としてお母さん自身の妊娠中毒症を予防し、お腹の赤ちゃんが巨大児や未熟児になるのも防ぐからです。

 私がすすめている「栄養のバランスを考慮した食事」とは、かつての日本の母親がよく食べていた昔ながらの和食中心の食事です。

 主食は吸収が早いパンよりも腹もちの良いご飯の方が良いでしょう。また、白米よりも栄養価の高い麦飯の方がさらに理想的です。おかずは栄養のバランスを考慮して品数を揃え、量を摂り過ぎないように注意してください。

 自然食品を揃えるのもなかなか難しいご時世ですが、海藻類(ヒジキ、ワカメ等)や野菜(ゴボウ、セロリ等)といった繊維質の多い食品を取り入れ、魚類を中心にした食事を摂るようにしましょう。

 自然食品の中には、高級品になっているものもありますが、スーパー等で手に入りやすい手頃なものを取り入れてみたらいかがでしょうか。出来合いの物ばかりに頼らず、メニューも自分なりに色々と工夫してみましょう。

 ただ気をつけなければならないのは人工甘昧料が入っている清涼飲料水等で、あまりお勧めできません。アルコール類も控えた方が良いでしょう。妊婦さんや赤ちゃんにあまり良い影響を与えるものでないことがわかっているタバコも妊娠中はできるだけやめていただきたいですね。なかなか自己申告しない人もいますから、正直な数字はつかめませんが、タバコを吸う妊婦さんも最近かなり増えております。妊娠してもやめられないという方のためにも、妊娠していない日頃から、タバコの本数を減らすといった節制をすることが大切です。

 そんな妊婦さんには、ただ「やめなさい」と言うのではなく、妊娠中の喫煙がお腹の赤ちゃんの発育不全を起こすことや未熟児、早産などの原因につながる可能性があることを詳しく説明する必要があります。

 妊娠中の運動については、マタニティスイミング、マタニティビクス、マタニティヨガ等がマタニティ雑誌を賑わしておりますが、まずは身近に行えるウォーキングから始めたらいかがでしょうか。ウォーキングといってもお腹の状態を考えながら(腹緊があれば休憩するかすぐに止める)、ふだんより少し早足で30分間程歩くことを妊娠期間中続けることをお勧めします。

 妊娠している10か月間、医師から言われたからやる、という受け身の姿勢ではなく、健康な赤ちゃんを産むために母親としてやるべきことを行い、守るべきことを守るという積極的な姿勢でマタニティライフを過ごすことが大切です。一人の妊婦が一人前の母親になるためには、自発的に心と身体の準備ができるように、医療サイドの的確なアドバイスや指導が欠かせません。

 妊婦さん自身が、これらのアドバイスや指導に真剣に耳を傾けていただき、「母親になるのだ」という自覚を持ったうえで、しっかりと自己管理をして、ぜひとも健康な赤ちゃんを無事出産してほしいですね。

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