待望の赤ちゃん、本当にかわいいことでしょう。でもかわいいかわいいといってかわいがるそのかわいがり方も考えなければという私からのお話です。
はじめに、産まれてきた赤ちゃんは、けっして親のおもちゃじゃないということ、そして、かわいがる時にはひとつの人格としてかわいがってほしいということを知っておいて欲しいのです。
そうしないと、赤ちゃんが親の言うことを聞かなかったり、親の意に反してぐずっている時など、どうしても怒る気持ちが先に立ってしまって、しかりつけてしまうことになるからです。
そうではなくて、ぐずり泣いているような時でも、赤ちゃんにとっては、これから一人前になっていく途中のごく当たり前の自然な経過として、おなかがすいているのかもしれませんし、お尻がぬれているのかもしれませんし、風邪をひいているのかもしれません。
どこかそのほかに体の具合が悪いのかもしれません。いろいろな原因があり、その時の赤ちゃんの素直な表現なわけです。
親が怒って聞き分けられるのは、2〜3歳以上になってからのことです。それ以前はいくらいってもわかるわけではないのに、おもちゃやペット感覚でかわいがっていると、そういう時に今度は、親のほうで聞き分けのない怒り方や育て方をしてしまうことになります。
もちろん、いろいろな情報を知った上で子どもに接するのがベストでしょうが、そういう知識だけの問題ではなく、赤ちゃんに接する時の基本的な心構えとして、やはり、生まれた赤ちゃんを一人の人格として認めてあげることが、とても大切だと思うんです。
そして、それは妊娠中、赤ちゃんがお母さんのおなかの中にいる時からいえることなのです。
例えば、性別判定にしても、確かに今では妊娠中からわかりますが、私たちの病院では事前に知らせることはしていません。途中で赤ちゃんの性別を教えること自体がどうかとは思うのですが、親のほうにしてもそれを知るのが本当に良いことなのか。
結局は、それを知って「あーしたい こーしたい」というのは親のエゴでしかないと思うのです。
赤ちゃんの立場で考えて下さい。自分がこの世に生を受け、それを親から男であるがゆえに嫌われたり、女であるがために嫌われたりしたら、たまったことではありません。いい迷惑ですよね。
このように、案外自分ではわかっているつもりでも、赤ちゃんの立場からしたら、親の言うことが「そうは言われても・・・・」ということになってしまうでしょう。
初めから「赤ちゃんを一人の人格」として認めてあげればそういうこともなくなるでしょうし、このことって、その後の育児や教育にもずっと続くことですから、できたら妊娠中からでも心がけてください。
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