私から3つのメッセージを送ります。まずそのひとつです。
皆さんは、結婚すれば妊娠するものと思っているでしょう。でもそうではないんです。例えば同窓会なんかにいってごらんなさい。必ず「私、子どもいないの」という人がいるはずです。100人に10人位の割合になります。
ですから、赤ちゃんができたということはすばらしいことなんです。今、あなたが生きているということは、お父さんとお母さんが愛し合ったということであり、そのまたお父さん、お母さんという具合に1000年も、あるいはそれ以上も続いてきた命なんです。そしてあなたのお腹に赤ちゃんが宿った。これはまた先にも命が続いていくことなのです。現在は過去からきて未来に続いていきます。すばらしいことですね。
また命は、産婦人科なんていうのがなかった500年も1000年も前から、間違いなしにつながっています。ですから、あなたも間違いなしに命を伝えることのできるお母さんなのです。
大切な命、その命を身ごもったうれしさ“オーバー・ハッピネス”の気持ちで出産までを過ごせば、間違いはあまりおこらないのです。
生き物の体というものは、心が楽しい時には円満に働くものなのです。
お産もそうなんです。楽しく仕事してごはんを食べて、夫婦仲よくする。これが安産の基本であり、私の2つめのメッセージです。
3つめは「体を大事にする」ということ。
妊娠中はよくこんな言葉をかけられると思います。「体を大事にする」ってのはどんなことなのでしょう。品物なら使わないで飾っておくとか、しまっておくことですね。でもお腹に赤ちゃんのいる方にとっての「大事」は全く違うんです。
あなた方にとっては、“ゆっくりたくさん歩く”“のんびりたくさん働く”“おだやかな気持ちでたくさん楽しい時間を作る”ことが「体を大事にする」ってことなんです。体を使わないことではないんです。体をせっかちに急がないで、焦らないで、イライラしないで動かすのがいいんです。
昔、理科の時間に心臓から出た血液は動脈を通り、静脈を通って心臓に帰ってくると習いましたね。血液が帰ってくるというのは、筋肉が縮んだり伸びたりするからなんですが、この伸び縮みは、身体を動かさないとおこらないんです。
お腹に赤ちゃんのいるお母さんに、「歩きなさい」「動きなさい」というのは、赤ちゃんをとりまく血液循環がよくなるから勧めるのです。
ミレーの絵画に「晩鍾」というのがあります。農夫は体を動かした後の平和な心で夕べに祈ってます。あの平和な心は、体を動かさないと感じられないものです。
過度の休息は決していい結果にはつながらないのです。
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