ここは東洋一きれいな施設で、高度な医療設備と、医療スタッフのいる日本でも3〜4か所しかないオープンシステムの解放型の病院です。
このシステムは、内科や外科、耳鼻科はもちろん、自分で患者さんを連れてきて登録すれば、ここの高度な医療設備を用いて手術もできるし、ベットも共有できるというシステムです。
産婦人科の先生方は、みなさん病室を持っていらっしゃいますし、お母さん方の9割は正常分娩ですから、ここでは、何らかの異常をともない、先生方では対処が難しい(ハイリスク妊産婦の)お産のみを扱う救急センターの役割をしています。もちろん産科でも母親・両親学級などを開き、解放型病院の役目もしています。千葉県でも産科でこの様なオープンな病院はここしかありませんし、最先端ですね。やがては全国にこのような施設ができてくると思いますが、今のところ3〜4か所しかありません。
そのようなことから、ここには正常妊娠から異常をきたしパニック状態の妊婦さんがやって来るわけで、そうしたお母さま方に私たちは5人のスタッフで対応しています。そして、私たちが、まず初めにすることは「心配しないでいいですよ、大丈夫ですよ」と声をかけ、少しでも不安を取り除いてあげることです。
今まで診て頂いていた先生のところから急に移されてくるのですから、それはショックですよね。ただでさえ異常分娩で、帝王切開だったり、吸引分娩だったり、鉗子分娩だったり・・・・、そういう人たちはきちんとフォローアップしてあげないといけないですし、前回そういう異常を起こした人が今回も起こす可能性がなきにしもあらずですから、そういうものもきちんとフォローアップしてあげる。
帝王切開でも3〜4人産む方もいっぱいいらっしゃるわけですから。
正常妊娠から異常への話になりますが、これは、妊婦さんにとっても先生にとっても、まだわからない部分が大分あります。正常かと思っていても途中でおかしくなる。昨日まで元気だったのが突然おかしくなる。もちろん妊娠中毒症とか、前のお産が難産だったとか、チェックできるものもありますが、まだまだわからない部分で、緊急時のために私たちは地域の診療との連絡を密に、一生懸命に活動しているわけです。
その中で、お母さま方のパニック時のマインドコントロールとでも言いましょうか、不安を取り除くのには、これには父親の信頼、存在が一番です。
今は昔と違って核家族化していますから、母親学級にしても、両親でというケースが普通になりつつあります。私はその先を考え、
「お母さんがこんなに頑張って赤ちゃんを産んだんですよ、家に戻ったら、お父さんもお母さんの育児のことを理解してあげてくださいネ」、「お母さんからお父さんへ」というような産後の理解を深めていただけるようなビデオを、現在企画進行させています。
産褥期になりますと、お母さんは産褥期精神病、いわゆるマタニティブルーになりやすいですから。
そのビデオ完成のころ、ここにも新しく母性棟が誕生することと思います。今までは、どこでも産婦人科病棟という名前でしたが、病気ではありませんから、もっと大きな意味で、母性棟とし、お母さん方や医療スタッフ、父親まで参加できるコミュニケーションの場としても活動させていきたいと思っています。
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