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母子救急対策、そして、未熟児を生まないために

野口産婦人科医院

野口圭一

BeMam vol.19

 わが国では母子健康手帳を初め、母親教室、父親教育などの他、ビーマムなど多種多様の参考書や指導書などが充実していますし、妊婦さん自身の教育レベルも高いですから、あらためて申し上げることもないと思います。

 そこで、私からは、「母子救急対策」と「低出生体重児(いわゆる未熟児)を生まないこと」についてのお話をしたいと思います。

 お産は出血との戦いであるとも言われています。分娩中や分娩直後に時として異常出血が起こることがあります。この出血はほんとうに急激で多量で、その処置は超緊急を要するのですが、愛知県では、このような事態にそなえて救急体制をつくっています。名古屋市立大学の麻酔科へ連絡すると、すぐに救援スタッフが現場へ急行して、呼吸、循環の管理や麻酔を行い、処置に協力してくれます。さらに産科医の救援スタッフも協力してくれます。

 赤ちゃんの緊急事態の時は、救急医療情報センターに連絡すれば新生児の専門病院からスタッフが、保温された新生児搬送用保育器を持って駆けつけてくれます。そして新生児の救急処置をし、必要ならその病院のNICUへ収容するという体制がとられています。

 ですから、大病院でなくても個人の産婦人科でも安心してお産ができます。 むしろそこでは、院長が常に診療 、分娩をおこなっているので、妊婦さんとの人間関係も緊密で、メリットが大きいでしょう。

 わが国の周産期死亡率、新生児死亡率は、世界でも最も優れた水準であり、特に出生前後の管理やNICUでの新生児医療の進歩の結果、重症児、低出生体重児、極小未熟児、超未熟児が救命されるようになってきています。その進歩はめざましいものがありますが、私はまずこのような低体重児、極小、超未熟児を生まないというキャンペーンをすることが重要だと考えます。

 もちろん、重症児が生まれる原因はいろいろあります。妊娠の経過を観察している間に予見できるものもありますが、そうでないものもあります。また、予見できても防ぐことのできないものもあります。しかし、IUGR(子宮内胎児発育遅延)の一部や妊娠中毒症などに対する適切な治療、また切迫早産や前期破水などが起こらないような予防が大切です。切迫早産や前期破水は低体重児の出産につながります。

 特に切迫早産は、最近とても優れたお薬ができましたので、その兆候に気が付いたら、すぐ受診して治療を受けて下さい。

 妊娠中の日常生活に気を配り、激しい運動、過激なセックスなどは避けていただきたいですね。

 前期破水の場合もいろいろな治療法がありますが、細菌の感染が一番心配です。前期破水の主な原因の一つは感染ですから、腟からの感染の予防に特に、注意しなくてはなりません。不潔な状態でのセックスはいけません。上手にコンドームを利用することも有効だと思われます。

 重ねて申しますが、皆さん方は、低出生体重児を生まないということを念頭において、(もちろん大き過ぎるのもいけませんが)妊娠の管理を受けて下さい。

 皆さん、どうぞ、元気なよい赤ちゃんを産んで、よい子に育てて下さい。そして、「おぎゃー献金」に協力して頂けることを、期待しています。

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