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ゆったりと幸福な気分でナチュラルバースに

関口産婦人科

関口允夫

BeMam vol.3

 最近、病院の都合で出産をコントロールする産婦人科医療機関が多くなっていますが、私はこれには警告を発したいほどで、ずっとナチュラルバース=自然分娩をテーマにしています。とくに私は開業医ですから、余裕を持って一件一件のお産に丁寧につきあい、自然に生命を誕生させていきたいと思います。

 そもそも、お産って、そんなに難しいものじゃないっていうのが私の持論です。情報化時代の中で、妊婦さんも、多すぎる情報に惑わされ、少々神経質になっているような気がしますが、私は、出産に一番大切なことは、精神の安定と子を持つことの喜びを育むことだと思っています。

 ですからね、うちでは2回目くらいの診断、妊娠8、9週くらいに、おかあさんに超音波で赤ちゃんの心拍動を見せて、17、8週あたりでまた見せる。そして、その頃、5か月の「いぬ」の日に自ら朱墨をすって『寿』と書いて、帯を巻いてさしあげるなど、親になる自覚を深めていただこうとしています。

 超音波で胎児の様子を見ますとね、おかあさんの喜怒哀楽が、赤ちゃんにほんとうに伝わっていることがよくわかるんですよ。

 たとえばね、最近はご主人が付き添っていらっしゃる場合が多いので、超音波を一緒に見ていただくのですが、最初はおふたりとも緊張して息を殺しているんですね。と、赤ちゃんもじっとしています。そこで私が「わが子と会うのだから、もっと笑顔で」なんて言うと、ご両親がリラックスするでしょ。と、たちまち、胎児も活発に動き出すんですよ。ほんとうなんですよ。

 おかあさんがニコニコして過ごすことが、いかに必要かがおわかりでしょう。胎教ってこういうことだと思います。仮にリューマチとか何か持病がある場合や、流産の経験がある場合にもそう案ずることはありません。

 「医学の進歩で、異常は事前に99%わかる。とくに神奈川のお産に対する救急システムは日本一だし、とにかく主治医を信じて。安心して過ごしてください」なんて、私はよく言っています。

 医療的なことは医師が責任を持ちますから、あと、妊婦さんにお願いしたいのは食事のことでしょうか。

 最近はご夫婦ふたりきりのお宅がほとんどでしょう。朝食はご主人のために手づくりにしても、お昼は一人でついインスタントでという方が多いようですが、妊娠中はただでさえ貧血になりやすいもの。食生活をおろそかにしていては・・・。貧血状態で出産すると、出血しがちです。血に固まる力がなくなるんですね。仮に中毒症になったりしたら、拍車がかかることになりかねません。だから、一食一食しっかりと。レバーやホウレン草などの緑黄野菜、牛乳などをたくさんとるようにしてください。薬ではデータ上、治っても、実際は回復していないことも多いんです。食事によってこそ、血の「底力」ができるんですね。

 ナチュラルバースを主張する私のアドバイスはそのくらい。とにかく、赤ちゃんの誕生を幸福な気分で待って、げんきな赤ちゃんをおなかにいるうちから育てましょうよ。心配しなくても大丈夫。出産は、昔から、女性なら誰でも経験していることなのですから。

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