戦前、戦中の「生めよ増やせよ」の時代から戦後のベビーブームの時代をへて、いまや少産少死の時代になりました。
以前のお産は、子孫を残すという目的の手段としてだけで考えられていたように思います。
現在も、子孫を残すという大前提は変わりませんが、小産という意味からでしょうか、お産をもっとメモリアルなものにしようという風潮になっているようです。そんな流れのなかで、私たち産科医も産科医療を3つのサービスというかたちでとらえていくようにしています。
その第一は、医療従事者の医学的知識や経験を十分に駆使することはもちろんですが、分娩監視装置や超音波断層装置などの導入の医療面でのサービスです。
第二は、従業員のマナーや部屋、食事などの環境面でのサービス。
第三は、ラマーズ法や無痛分娩などの分娩方法のサービスです。
理想的にいえば、妊婦さんの要望のすべてに応じてあげられれば良いのですが、なかなか理想には近づかないものです。
第一、第二のサービスについては、あるレベル以上であることが不可欠です。
第三のサービスに関しては、それぞれの病・医院の特長ですから、妊婦さんはそれを良く知ることでしょう。そのうえで自分にあった病・医院でよき思い出を作っていってはどうでしょうか。
さて、近年の高学歴化や女性の社会進出の増加は、高齢出産という現象をもたらしていますが、医学的にいえば難産につながりやすいとか、染色体異常児を生みやすいとか、あまりおすすめできない面もあります。しかし、社会風潮ですし・・・・。
で、一言。高齢初産というだけで難産につながることはないのですが、染色体異常児については、当院の染色体検査の800例の統計でみると、37才以上の妊婦さんに、異常が多く見られました。もしこの年齢以上でしたら、ぜひ児の染色体検査をすることをおすすめします。
一方、過去に染色体異常児を産んだことがなく、しかも20才代で検査を希望する方もみられますが、この方たちは情報過多なのでその整理ができないのではないかと思われるのです。
今、医学界では患者さんに十分な情報を与えたのち、治療法などの選択を患者さんの意見を尊重して決定するインフォームド・コンセントということがいわれています。
お産の場合も、知識を持つことは必要であり、私たち医者も説明がしやすいのですが、情報に押し流されてしまっては逆効果です。
情報を良く消化して知識にして持つように心がけてください。
られるようですよ。
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