よっこいしょー、よっこいしょー
ちっちゃい赤ちゃん腕に抱き
大っきな力士が四股を踏む
よっこいしょー、よっこいしょー
子どもたちよ、
どうか丈夫な子に育っておくれよ


 四国山地に連なる、「四国カルスト」の山々に囲まれた愛媛県野村町は、ヘラブナの里として有名な朝霧湖や、愛宕山などの、美しい自然の景観を生み、町の人や観光客のめを楽しませてくれています。

 その野村町では、毎年旧暦10月、乙亥の日に近い2日間を選び、「乙亥(おとい)大相撲」を執り行います。

 日本相撲協会の幕内力士から、町内の小・中学生まで集まるこのお祭りは、150年ほど前、町が大火に見舞われた際、町の西部にある愛宕山に愛宕神社を建て、無火災を祈って「33結びの奉納相撲」を行なったことがきっかけで始まりました。その一環として行なわれる「稚児土俵入り」は、前の年の9月からその年の8月までに生まれた男子の無病息災を願って、毎年祭り初日に行なわれてます。

「のしめ」と呼ばれるお宮参りの衣装を着た赤ちゃんたちが、お母さんに抱かれて土俵近くへ集まり、順に、土俵の上の力士に手渡されます。『うわぁ〜、なんて大きな人だろう!』心なしか不安げな表情の赤ちゃん。そんな赤ちゃんを太い腕でしっかりと抱え力士は豪快に四股を踏みます。
 よっこいしょー、よっこいしょー…

 その後、力士に抱えられたまま、赤ちゃんも土俵で可愛い四股を踏みます。眠ったままの子や、ニコニコしている子、中には泣き出してしまう子もいて、そんな赤ちゃんを一生懸命あやす力士の姿も、観客の笑いを誘い、終始なごやかな雰囲気の中、祭りは行なわれます。
 祭りが行なわれる二日間は、町のいたる所にノボリが立ち、商店街には100余りの出店が連なり活気にあふれ、野村町は相撲一色に染まります。


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