ペッタンコ、ペッタンコ…
 元気にすくすく育っておくれ
  両親の願いをこめて真っ赤な神印を押してもらうよ
    ね、ペッタンコ…



童話『ぶんぶく茶がま』で有名な群馬県・館林市は渡良瀬川が西から東へゆったりと流れ、城沼のほとりでは、5月ともなると1万株のツツジの花が、赤や白、桃色に一斉に咲き誇ります。
そんな館林市にある富士獄神社では、400年以上の歴史を誇る初山大祭が毎年5月31日と6月1日に執り行われます。

あかちゃんが丈夫に育つようにと、神印と呼ばれるハンコをおでこにペッタンコと押してもらうことから、別名ペッタンコ祭りとも呼ばれるこのお祭りには、毎年千二百人もの赤ちゃんが集まります。
お祭り当日、たくさんの赤ちゃん連れの家族が、小高い丘の上にあるお社をめざして、石段を登ります。頂上で待っているのは、緑色の袴をキリリとはいた笑顔の宮司さんたち。頂上についた人から順に神印を押してもらいます。

お母さんたちは、『よろしくお願いします』と赤ちゃんの前髪をあげて、かわいいおでこを出します。そこへ宮司さんは慣れた手つきでペッタンコ。400年以上昔から使われている木槌をおでこにあてて、霊験あらたかな言葉のかかれた朱色の神印を押します。神印は木槌の両面に彫られており、男の子は文字が太く刻まれている面を、女の子は文字が細く刻まれている面を、それぞれ押してもらいます。



●カレンダーページに戻る