通常、一回で数億の精子が射精されます。精子の大きさは約0.05mmです。射精された精子のほとんどは膣外へ流出(フローバック)し、生き残った精子が頸管粘液の助けを借り、子宮内に到達します。
子宮頚管は、普段は殺菌などが子宮内へ侵入しないように防御していますが、排卵が近付くと頸管粘液が多量に分泌され精子の通過を助けます。精子は、子宮内腔の卵管口から卵管の中に入り、卵管の先端部(卵管肥大部)で待つ卵子へと1分間2~3mmの速さで泳いでいきます。
月経が始まると、約20個の卵胞(卵子を包むもの)は脳下垂体から分泌される卵胞刺激ホルモン(FSH)の作用で徐々に大きく育っていきます。その中から最も反応性のいい卵胞が、主席卵胞として成長を続け、それとともにエストロゲンの分泌量が増えます。直径が20mmを超えたあたりでその分泌量がピークに達し、卵胞が十分に育ったと判断されると、視床下部からの指令で脳下垂体から黄体ホルモン(LH)が大量放出(LHサージ)され排卵が起こります。
精子の中から、受精の場である卵管膨大部にまで到着できる精子は百~一千匹くらいだと考えられます。また妊娠するためには、運動精子の数が50%以上でなければ困難とされています(WHOの精液性状基準値)。排卵された卵子は、卵管采に取り込まれ、卵管膨大部で精子と出会います。
卵管膨大部で卵に出会った精子が卵子に入り(受精)、受精卵(胚)ができます。1匹の精子が卵子の透明帯を通過すると性質が変化し、他の精子は侵入できなくなります。
胚は細胞分裂を繰り返し、細胞を増やしながら卵管内を4~5日かけて子宮まで運ばれていきます。約4日目で細胞数は16~32くらいの桑実胚(そうじつはい)となります。
桑実胚はさらに細胞分裂を繰り返し、胚盤胞になり子宮腔内へ移動します。透明帯という卵を保護する膜から脱出して子宮内膜にもぐり込み着床すると妊娠が成立します。
それぞれのプロセスのどれか一つでもクリアされなければ妊娠することはできません。また妊娠が成立しなかった場合、排卵後2週間くらいで黄体機能は衰え、黄体ホルモンは分泌されなくなります。子宮内膜は剥がれ落ち、月経となり、そして次の周期に向け、妊娠の準備を始めることとなります。
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母子手帳(母子健康手帳)は、妊娠中の状態や出産に関すること、赤ちゃんの成長などを記録する、とても大切なものです。妊娠中の定期健診の際に病院に持参して健康状態を書き記したり、赤ちゃんが健診や予防接種を受ける際に持参したり、頻繁に使用します。交付先は、お住まいの市区町村です。地域によって異なりますが、役所や保健センターで受け取ることができます。所定の妊娠届出書に記入の上、受け取ってください。なかには捺印が必要なところや、病院からの妊娠届が必要な地域もありますから、自分の地域はどうなっているのか、受け取りに行く前に確認することをオススメします。 |
母子手帳(母子健康手帳)のパパ版にあたる「父子手帳」をつくっている自治体があります。母子手帳は母子保健法で定められていて、妊娠~出産後の健康状態等を記していきますが、父子手帳は各自治体で自由につくられていて、内容はさまざまです。おむつの替え方やミルクのつくり方、お風呂の入れ方、赤ちゃんのあやし方、離乳食のつくり方など子育ての実践的なことからはじまって、妊娠中の奥さんへの配慮、出産・教育費について、お出かけ施設情報など、子育てのヒント、アドバイスがいろいろ詰まっています。