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いろいろな分娩方法を知っておきましょう

だれでも、安全に普通に赤ちゃんを産みたいと思っているでしょう。でも、安全で普通って具体的にどういうことなの か?いろいろなお産の形を知ることで、安全なお産、いわゆる普通のお産がどんなものなのか知ることができるで しょう。


自然分娩
 麻酔や陣痛促進剤に頼らず、自然の陣痛を待って、自然な力で赤ちゃんを産もうというものです。
助産院や自宅出産では、この自然分娩が行われます。 しかし、微弱陣痛に対する陣痛促進剤の使用、会陰切開など、医療の手が入った場合でも、自然分娩というところもあります。 どのようなお産の流れになるのか、健診の際に医師とよく話し合い、信頼関係を築いておくことで、出産時の不安は和らぐでしょう。


通常分娩
  「ヒッヒッフー」の呼吸法で広く知られているラマーズ法は、フランスのラマーズ医師が ロシアの精神予防性無痛分娩をもとに編み出した出産法です。陣痛の際、呼吸に神経を向けることで、痛みから気をそらすことができると言います。また、リラックスし、安定した精神状態でいれば、痛みを増幅することなく、産道の筋肉の緊張も取れるために、赤ちゃんを締めつけることがなく、産道の損傷も最小限度で済むようになります。ラマーズ法では精神的な支えとしてパートナーの立ち会いを勧めています。


立ち会い出産
  ソフロロジー式分娩法は「超痛分娩」と言われ、心と身体を積極的にリラックスし、陣痛、出産を前向きに受け入れようというものです。ラマーズ法が陣痛を呼吸法でそらすのに対し、ソフロロジー法では陣痛は母親になるために必要な喜びのエネルギーと捉えます。 クラシック音楽や自然の音などで構成された音楽を繰り返し聴き、出産や育児が喜びに満ちたものであるというイメージを描き、分娩をリラックスした状態で乗り切るように持っていきます。


ラマーズ法
  麻酔の力を借りて陣痛の痛みを緩和する分娩法です。麻酔ガスを吸入し、うつらうつらした状態にする吸入麻酔と、意識は保って赤ちゃんの誕生を確認できる局所麻酔とに分かれます。 局所麻酔の場合も、赤ちゃんの頭が産道を通る直前に腟の一部と会陰部周辺の神経を麻痺させる方法などいくつかあります。現在、無痛分娩全般で一般的に行なわれているのは、脊髄を取り囲んでいる硬膜の外側に麻酔を打って陣痛の痛みの感覚を麻痺させる硬膜外麻酔の方法です。意識ははっきりしているので、陣痛の波をとらえていきむことも、赤ちゃんの産声を聞いたり、出産直後に赤ちゃんと対面することもできます。(まれに、無痛分娩を希望されても麻酔薬にアレルギーのある方や、タイミングがあわず麻酔をかけられない場合があります。)


ソフロロジー式
  前もって出産日を設定し、その日に向けて陣痛誘発剤で陣痛を起こさせる分娩方法です。前期破水を起こした人や、妊娠高血圧症候群の人、予定日を過ぎてもなかなか産まれない人など、母胎にリスクがかかる可能性がある場合に選択されることが多いです。出産は陣痛を促す陣痛誘発剤、をすぐに使用する場合と子宮に差し込んで子宮口を広げるラミナリア、通称「バルーン」という水風船状のもので内から子宮口を広げるメトロイリンテルなどを使用して子宮口を広げてから陣痛誘発剤を使用する場合があります。


アクティブバース
  医療器機に管理されることなく、出産する本人にとって楽な姿勢をとり、自由な呼吸法で陣痛をコントロールし、リラックスした状態で分娩をする方法です。仰向き、横向き、座位、しゃがむ、立ったまま、両手両足をついてなど、楽な体位をとることで痛みが和らぎ、いきみやすくなります。また、重力に逆らわない姿勢により、出産時間も短く済むようです。


水中出産
  温水につかり、心と体をリラックスさせながら、陣痛を和らげる分娩方法です。陣痛がピークになってから、腰ぐらいの深さのぬるま湯(体温と同じ程度)につかり、水中で産みます。体が温まってくると、血液循環はよくなり、筋肉は柔かくなるので会陰ものびやすくなり、お産を助けてくれます。また浮力で体が軽くなり、鎮静・鎮痛効果があるとも言われています。 ただし一方で、水中分娩による感染や出血などのリスクも報じられています。医師や助産師さんとよく相談してから行なうようにしましょう。


座位分娩
  腰かけた状態で行なう分娩法です。上体を起こした姿勢で出産するので、重力が赤ちゃんを引き出す手助けになります。出口が狭く、前に曲がった骨盤の形に合う分娩体位とも言えます。 メリットは産む人とスタッフの目の高さがいっしょでコミュニケーションを取りやすいこと、視野が広がるので、何が行なわれているかが理解しやすく、よけいな不安を取のぞけること、仰向けの姿勢よりもおなかに力を入れやすいことなどが挙げられます。


無痛分娩
  赤ちゃんが生まれにくい場合、器具を使用して、胎児を引き出す分娩方法です。赤ちゃんが産道の出口付近まで来ているのに分娩が進まず、長時間の分娩になった場合や、へその緒が首に絡まっているとき、赤ちゃんの心音が弱まったときなどに緊急手段として用いられます。
吸引分娩は、腟内の赤ちゃんの頭に金属かシリコンの吸引カップを着け、カップ内の空気を抜いて頭に密着させ、いきみにあわせ、吸引力によって引っ張り出します。 鉗子分娩では、大きなスプーンのような鉗子を使います。鉗子は左右2本で一対です。それを腟の中に挿入し、 赤ちゃんの頭を両方からはさんで引き出します。 吸引分娩、鉗子分娩は、人為的な力が加わることで赤ちゃんや母体を傷つける心配もありますが、母子の安全を守るためにやむをえない手段と言えます。


帝王切開
  経腟分娩が無理な場合に下腹部と子宮壁を切って赤ちゃんと胎盤を取り出す分娩方法です。あらかじめ帝王切開が予定される場合と、 通常の分娩中にトラブルが生じて緊急に行なわれる場合があります。

●あらかじめ手術が予定される場合

<重度の妊娠高血圧症候群>

妊娠高血圧症候群でも軽い人は経腟分娩が可能ですが、重い人は帝王切開となります。一番危険なのは胎盤の血流が悪くなり、子宮内の胎児発育遅延や仮死に陥る可能性がある場合です。状態によっては、予定日より早めて手術をすることになります。

<児頭骨盤不均衡>

ママの骨盤よりも赤ちゃんが大きくて、産道を通過できないと判断された場合。

<逆子>

逆子のうち75%程度はお尻から出てくるので、この場合は経腟分娩も可能ですが、足やひざから出てくる場合は、へその緒が頭と産道の間に挟まって圧追され、危険な状態になることがあります。こうしたリスクを避けるために、帝王切開が選択されることがあります。

<前置胎盤>

前置胎盤の場合、すべてが帝王切開になるというわけではありませんが、胎盤が子宮口を完全にふさぐように位置している場合は、赤ちゃんの進路の邪魔になる上、赤ちゃんの頭に押されて大出血を起こす危険性があるため帝王切開をします。

<前回のお産が帝王切開だった人>

前回のお産が帝王切開の場合、次のお産でいきんだときに子宮が前回切開したところから破裂する危険性があると考えられています。そのため、帝王切開が選択されることもありますが、最近は経膣分娩が選択されることもあります。

●出産のときにトラブルが起き、急きょ帝王切開になる場合

<胎児の具合が悪いとき>

  胎盤の働きが悪い、羊水が少ない、へその緒が巻き付いているため陣痛によって血の巡りが悪くなるなど、胎児が酸素不足になり苦しくなっている徴候がみられるとき。

<お産の進行に障害があるとき>

胎児の回る向きの異常(児頭回旋異常)、ちゃんとした陣痛があるにもかかわらず2時間以上お産が停止した状態のとき。同じような理由により、初産で30時間以上、経産で15時間以上たっても分娩できないとき。

<母体に危険が迫っているとき>

感染徴候があるときや、胎盤早期剥離の徴候があるとき、また、子宮に無理な力が加わって子宮の壁が裂ける(子宮破裂)おそれがあるとき。あるいは、分娩の途中で意識を失う子癇という状態に陥ったとき。

●手術日

予定帝王切開の場合は手術日の1~2週間前には血液検査や心電図をとり、手術が可能かどうかの検査をします。
手術日は正産期に入った37週以降が望ましいとされていますが、それぞれの状態によります。大体、手術の前日に入院します。

●手術後の生活

■痛みは? 母乳はあげられるの? 入院期間は? 麻酔も痛み止めもよくなってきているので、手術後の痛みは大分やわらげられます。 術後の食事は流動食から始まり、3日目くらいに普通の食事に戻ります。授乳は術後1日目から開始できます。退院は早くて8日目、長くて10日目くらいです。
■気になる出産費用は? 帝王切開は手術扱いとなり、保険の対象になります。生命保険などで、医療特約などを契約している場合、給付対象になっているかもしれませんので、確認してみましょう。通常分娩と比べると、入院は少し長くなりますが、出産費用は少し高くなることが多いようです。
■その後の出産への影響は? 子どもがたくさんほしい人は、初産はなるべく自然分娩で出産したいところですが、帝王切開でも3人のお子さんを出産する人もいますのでご安心を!