経腟分娩が無理な場合に下腹部と子宮壁を切って赤ちゃんと胎盤を取り出す分娩方法です。あらかじめ帝王切開が予定される場合と、 通常の分娩中にトラブルが生じて緊急に行なわれる場合があります。
●あらかじめ手術が予定される場合
<重度の妊娠高血圧症候群>
妊娠高血圧症候群でも軽い人は経腟分娩が可能ですが、重い人は帝王切開となります。一番危険なのは胎盤の血流が悪くなり、子宮内の胎児発育遅延や仮死に陥る可能性がある場合です。状態によっては、予定日より早めて手術をすることになります。
<児頭骨盤不均衡>
ママの骨盤よりも赤ちゃんが大きくて、産道を通過できないと判断された場合。
<逆子>
逆子のうち75%程度はお尻から出てくるので、この場合は経腟分娩も可能ですが、足やひざから出てくる場合は、へその緒が頭と産道の間に挟まって圧追され、危険な状態になることがあります。こうしたリスクを避けるために、帝王切開が選択されることがあります。
<前置胎盤>
前置胎盤の場合、すべてが帝王切開になるというわけではありませんが、胎盤が子宮口を完全にふさぐように位置している場合は、赤ちゃんの進路の邪魔になる上、赤ちゃんの頭に押されて大出血を起こす危険性があるため帝王切開をします。
<前回のお産が帝王切開だった人>
前回のお産が帝王切開の場合、次のお産でいきんだときに子宮が前回切開したところから破裂する危険性があると考えられています。そのため、帝王切開が選択されることもありますが、最近は経膣分娩が選択されることもあります。
●出産のときにトラブルが起き、急きょ帝王切開になる場合
<胎児の具合が悪いとき>
胎盤の働きが悪い、羊水が少ない、へその緒が巻き付いているため陣痛によって血の巡りが悪くなるなど、胎児が酸素不足になり苦しくなっている徴候がみられるとき。
<お産の進行に障害があるとき>
胎児の回る向きの異常(児頭回旋異常)、ちゃんとした陣痛があるにもかかわらず2時間以上お産が停止した状態のとき。同じような理由により、初産で30時間以上、経産で15時間以上たっても分娩できないとき。
<母体に危険が迫っているとき>
感染徴候があるときや、胎盤早期剥離の徴候があるとき、また、子宮に無理な力が加わって子宮の壁が裂ける(子宮破裂)おそれがあるとき。あるいは、分娩の途中で意識を失う子癇という状態に陥ったとき。
●手術日
予定帝王切開の場合は手術日の1~2週間前には血液検査や心電図をとり、手術が可能かどうかの検査をします。
手術日は正産期に入った37週以降が望ましいとされていますが、それぞれの状態によります。大体、手術の前日に入院します。
●手術後の生活
■痛みは? 母乳はあげられるの? 入院期間は?
麻酔も痛み止めもよくなってきているので、手術後の痛みは大分やわらげられます。
術後の食事は流動食から始まり、3日目くらいに普通の食事に戻ります。授乳は術後1日目から開始できます。退院は早くて8日目、長くて10日目くらいです。
■気になる出産費用は?
帝王切開は手術扱いとなり、保険の対象になります。生命保険などで、医療特約などを契約している場合、給付対象になっているかもしれませんので、確認してみましょう。通常分娩と比べると、入院は少し長くなりますが、出産費用は少し高くなることが多いようです。
■その後の出産への影響は?
子どもがたくさんほしい人は、初産はなるべく自然分娩で出産したいところですが、帝王切開でも3人のお子さんを出産する人もいますのでご安心を!